財産分与~特有財産について
弁護士 幡野真弥
財産分与について、以前、簡単に説明しました。
https://www.rikon.owls-law.com/2020/06/847/
今回は、財産分与の対象から外される特有財産についてご説明します。
財産分与とは、離婚に伴い、夫婦で築いた財産を精算し、一方の財産を他方に分与するものです。とすると、財産分与の対象となる財産は、「夫婦が共同して築いた財産」といえる財産のみであって、夫婦が共同して築いた財産とはいえない財産は、財産分与の対象から外されることになります。
このような、財産分与の対象ではない財産を、特有財産といいます。
特有財産となる典型的な具体例は、婚姻前から持っていた預貯金などや、親から相続で得た不動産などです。
婚姻前の預金から支出して形成された財産も、特有財産となることもあります。例えば、マンションの頭金を、独身時代の定期預金から支出した場合などです。このとき、マンションの価値の一部が、特有財産になります。
逆に、独身時代に不動産を購入し、結婚後、ローンを夫婦の収入から支払っていたようなケースでは、結婚後の支払いによって取得したマンションの価値の一部は、夫婦の実質的共有財産となり、財産分与の対象に含まれることになります。
また、夫婦の一方の専用のものや、夫婦で合意した財産は、特有財産となり、財産分与の対象から外されます。
不動産であれば、特有財産であることを立証することは比較的容易ですが、預金は、同居中に増減があったり、結婚後の収入と混在してしまい、特有財産であることの立証に困難をきたすケースもあります。そういった場合は、婚姻時の財産の額を、財産形成に対する貢献度の問題として考慮することになります。