婚姻費用の審判に対する抗告について
弁護士 幡野真弥
婚姻費用分担請求調停は、当事者間の話合いでは調停が成立する見込みがない場合、不成立となり、調停は終了し、審判手続に移行します。
審判手続とは、話合いではなく、裁判所による判断のための手続きであり、婚姻費用の金額等について、裁判所が判断し、審判を出すことになります。
裁判所が出した審判については、不服を申し立てることが可能です(即時抗告)。
即時抗告は、抗告状を審判を出した裁判所(原裁判所)に提出して行います。また、即時抗告は、審判の告知を受けてから2週間以内に、行わなければなりません。
抗告状には、抗告理由(審判について、変更や取消を求める理由)を記載していない場合には、抗告理由を記載した書面(抗告理由書)を、改めて提出しなければなりません。抗告理由書は、即時抗告を提起してから2週間以内に提出する必要があります。
抗告がなされると、原裁判所は、高等裁判所(抗告裁判所)に事件を送付します。
この際、裁判所は、抗告事件について意見を付さなければならないとされています。
抗告裁判所は、即時抗告が不適法であるときや、即時抗告に理由がないことが明らかであるときは、当事者等に抗告状の写しを送付しないで、抗告を却下または棄却することができます。そうでないときは、抗告裁判所は、当事者に抗告状の写しを送付します。
抗告裁判所は審理終結日と決定日を定めます。当事者は、審理終結日までに反論や資料があれば提出する必要があります。
抗告審では、原審の審理を基礎としつつ、新たに提出された主張や資料を検討して、結論(決定)を出すことになります。