婚姻関係の破綻について、原因が被告にあることは明らかであるとして慰謝料を認めた裁判例
弁護士 幡野真弥
東京地裁平成15年12月25日判決をご紹介します。
裁判では、以下の事実を認めました。
・婚姻届の提出時に、被告は、妊娠中の原告の体調に十分思いを致すことができず、ともに役所に赴いた原告がいすに腰掛けたとの事実をもって、原告の意思を確認することなく婚姻届の提出を一人で行う旨決断し、そのような自己の決断に従って行動しておきながら、婚姻届を手に手を取って提出するという自己の夢を実現することができなかったことに拘泥して、直後にそのことを問題にして、原告にいったん提出された婚姻届の返還を受けさせた上、約4時間にもわたって、原告に対し,自己の夢を実現することができなかったことに対する不満を述べたり、「別れたいの」などと述べたりした。
・被告は、原告に専業主婦としての役割を期待しており、原告もこれに応じて薬剤師の仕事を辞めたものの、被告は、原告との同居開始後、原告に対していったん生活費として15万円を渡しておきながら、その2日後には、うち14万円の返還を求めた。
・被告は、法人を経営していないにもかかわらず、「株式会社a協会CEO最高経営責任者Y」と記載された名刺を原告に交付していた。
これらの事実からすると、婚姻関係が破綻した主たる原因は被告にあるとして、裁判所は離婚を認め、慰謝料50万円の支払いを命じました。