財産開示申立てを受けた後、財産開示をせずに終了した事例
事案の概要
財産開示申立てをされたお客様よりご相談を受けました。
お客様は、前妻との離婚後、前妻との間の子供のために養育費を払っていましたが、色々な経緯があり、途中から支払いをやめていました。その後、前妻から何度も催促があったにもかかわらず、支払いをしない状況が継続していました。その結果、前妻からお客様に対して財産開示が申し立てられるに至りました。
お客様としては、財産開示申立て手続きへの出席や自身の財産開示を回避したいと考え、ご相談にいらっしゃいました。
結論
当事務所で財産開示手続きに関して代理人となり、進行を止めるべく当該手続きへの対応をしつつ、お客様には、養育費に関する未払い額を全額を支払っていただきました。その後、申立人が財産開示手続きを取り下げ、終了となりました。
財産開示手続きは、民事執行法という法律に定められているもので、一定の債務名義をもっている債権者が裁判所に申立てを行うことで、裁判所が債務者を呼び出し、その財産について陳述をさせるという手続です。令和元年に法改正がなされ、より実効性の高い制度となりました。逆に言えば、債務者にとって非常に厳しい制度となっています。
具体的には、債務者が正当な理由なく出頭しない等の場合には、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金に処することとし、罰則が強化されました。このように刑事罰が定められましたので、債務者が違反した結果、警察に逮捕されたという事件も出てきています。(財産開示手続きについては「財産開示手続」のコラムもご参照ください)
また、本件のように養育費の未払いがあるケースで利用されることも増えています。
このように、財産開示手続きが申し立てられてしまった場合、放置したりしますと、予想外の不利益を被る場合もあります。専門家に対応を確認の上、適切に対応することをお勧めします。
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