離婚訴訟により行方不明の妻との離婚が成立した事例
事案の概要
外国籍の妻との離婚を希望している夫からのご相談を受けました。
夫は、外国籍の妻と入籍したところ、数年後、妻が置手紙をして、自宅を出てしまい、おそらく妻の出身地である国に帰国したものと思われるが、所在がわからず、離婚手続きを進めることもできない状態になり、困ってご相談にいらっしゃいました。
結論
本件では、離婚協議や離婚調停を経ず、すぐに離婚訴訟を提起し、離婚認容判決を得て、離婚が成立しました。
外国籍の妻が行方不明になってしまいどうしてよいかわからないというケースは珍しくありません。この場合、連絡先が分からないので、協議もできず途方に暮れてしまい、離婚協議もできずに時間だけ経過してしまうということになりがちです。本件でも夫は、妻が行方不明になって数年経過してからご相談にいらっしゃいました。
日本では、調停前置主義が採用されているため、通常は、訴訟提起前に離婚調停を申し立て、不成立等によって調停が終了した後でなければ、離婚訴訟を提起することはできません。(一般的な離婚の方法については「離婚の方法」も合わせてご覧ください。)
しかし、本件のように配偶者が行方不明になっていると、離婚調停の申立書を送る先もわからず、申立をしても出頭は望めないので意味がありません。このような例外的なケースでは、必要な主張立証を行えば、調停を経ずに離婚訴訟を提起することが認められる場合があります。
ただ、簡単ではなく、一つ目のハードルとなるのが、妻が行方不明、すなわち、連絡がつかないということを立証するための材料を集めることです。特に本件のように妻が外国にいる可能性が高い場合は、特殊な対応が必要となります。その他にも裁判所と話をしながら必要な主張立証を積み上げていく必要があります。
したがって、配偶者が行方不明になって連絡がつかないという状況になりますと、基本的にご自身の力のみで、離婚を成立させるのは難しいことが多いとお考えいただいた方良いと思います。このような状態が長期間続き、離婚したいがどうしていいかわからないという状況になった場合は、早めに専門家に相談することをお勧めします。
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