財産分与権利者と税金
弁護士 幡野真弥
東京地裁平成29年6月27日判決をご紹介します。
離婚に伴い、妻は元夫から不動産を財産分与されました。元夫が国税を滞納し、妻は「第二次納税義務」の納税告知処分を受けました。
妻は、この納税告知処分の取消しを求め、裁判となりました。
裁判所は、財産分与の相当額としては、清算的財産分与1152万、扶養的財産分与432万円、慰謝料的財産分与1000万円を超えるものではないと判断し、離婚に伴い、元夫が妻に対して少なくとも3000万円を超えて財産分与をすることは民法768条3項の趣旨に反して不相当に過大なものとの評価を免れないといわざるを得ない、と判断しました。
そして、財産分与として約1億8800万円相当の不動産が譲渡されているから、この譲渡のうち少なくとも3000万円を超える約1億5800万円相当の部分は、民法768条3項の規定の趣旨に反して不相当に過大な財産分与との評価を免れず、国税徴収法39条の「著しく低い額の対価による譲渡」に当たるものというべきであるとしました。
通常の処理をしていれば、財産分与を受ける側としては、税金について考慮する必要はありませんが、今回の裁判例のように相当額を超える財産分与を受けてしまうと、課税されるリスクが高まりますので、注意が必要です。