コラム

養育費 婚姻費用分担金

総収入の認定ー年金収入の場合

弁護士 幡野真弥

 婚姻費用や養育費の月額を算定するにあたっては、父母の総収入が基本となります。
 今回は、年金収入しかない場合、どう総収入を認定するかについて、ご説明いたします。

 婚姻費用や養育費の算定表は、父母が給与所得者や自営業者の場合に用いるものであり、年金収入しかない場合は、算定表をそのまま使用することはできません。

 そこで、1つの考え方は、年金収入を、給与所得に修正して計算します。
 算定表では、給与所得者は、就労するための必要な経費として、総収入から一定の割合(改定後の算定表では、概ね15%)が「職業費」として除去され、そこから婚姻費用や養育費の月額が決められています。

 年金収入の場合は、職業費がかかりませんので、年金収入を給与所得と扱うためには、職業費の割合(15%)を除去せず、計算すれば良いことになります。
 そこで、年金額を、85%(100%-15%)で除した金額をもって、給与所得と扱い、算定表にあてはめれば、婚姻費用や養育費の月額が算定できることになります。