調停を利用することで早期解決を実現した事例

事案の概要

　離婚希望の妻からご相談を受けました。
　同居中から離婚の話し合いはしていたが、話し合いがつかないまま夫が自宅を出て、別居状態となり、数年経過しているという状態でした。
　お客様は離婚を希望しており、夫も離婚は拒否していないのだが、夫の諸々の動きが遅く、本人同士で話をしても一向に前に進まないので、どうしてよいかわからず相談に至ったとのことでした。

結論

　当事務所は、夫本人と協議を進めようとしてもこれまでと同じように夫からの返事が来ないということになり協議は進まないだろうと考え、すぐに離婚調停を申し立てました。
　夫は裁判所には出頭し、離婚には合意する、子供たちの親権も妻でよいと述べたので、後は財産分与について話し合いを進めることになりました。裁判所は夫に対して期間を定めて提出すべき資料を準備させるなど、夫の動きが止まらないように工夫してくれました。
　結果、一定の資産があるご夫婦でしたが、比較的早期に離婚調停が成立しました。

　離婚するしない、親権を誰が取得するか、財産分与の金額など、双方で意見の食い違いがあるために話し合いがまとまらないのは通常のことです。
　しかし、本件のように、双方で大きく意見が異なっているわけでもないのに、どちらか一方の動きが遅いために話し合いが進まないというケースは珍しくありません。動きが遅い理由は様々ですが、仕事等他に優先したいことがあり、離婚協議に必要な検討が後手後手になってしまっていることが多いように思います。

　他方で、あくまで話し合いの段階ですと、何かを強制することはできませんので、相手の動きに合わせるほかなく、あっという間に数年経過してしまうということになりがちです。
　そこで、本件のように他方配偶者の動きが遅いと感じる場合には、期日が入る離婚調停を申し立て、それをお互いにペースメーカーとすることで、話し合いが進み始めることがあります。
　どのような方法が適しているかは、事案ごとに異なりますので、「離婚協議はしているのだが、がなかなか進まない」ということでお悩みの場合は一度、専門家に相談されてみてください。