高額所得者の養育費・婚姻費用(東京高裁平成29年12月15日決定)
弁護士 幡野真弥
東京高裁平成29年12月15日決定をご紹介します。
夫の収入が給与所得年額約1億5320万円、妻の収入が0円の場合に、妻が夫に対し婚姻費用分担金の支払を求めた事案です。
原審は、夫が妻に支払うべき婚姻費用の分担額を月額120万円ないし125万円と定めました。
東京高裁は、夫が妻の住居費(月額330万)の負担を続けることが見込まれるとして、そのことを前提に、夫婦の同居時の生活水準、生活費支出状況等及び抗告人が相手方のクレジットカード利用代金の支払に限度を設けていなかった別居当初の時期の相手方の生活水準、生活費支出状況等を基礎とし、家計が二つになることにより抗告人及び相手方双方の生活費の支出に重複的な支出が生ずること、婚姻費用分担金は飽くまでも生活費であって従前の贅沢な生活をそのまま保障しようとするものではないこと等を考慮して修正し、婚姻費用分担の額を算定し、月額75万円としました。