浪費を理由に離婚慰謝料を認めた裁判例
弁護士 幡野真弥
配偶者の浪費を理由に、慰謝料を請求できますか?というご相談をお受けすることがあります。浪費は、婚姻関係が破綻していることを根拠づける事情の1つとなりますが、慰謝料まで発生することはあまりありません。
ただ、慰謝料を認めた裁判例がないわけではありません。奈良家裁令和元年11月12日判決は、夫の浪費を理由に婚姻関係が破綻したとして、慰謝料を認めた珍しい裁判例です。
裁判では、以下のような事実が認められました。
・被告は、原告の特有財産である不動産の売却代金から、被告は1300万円を自身が管理する預金口座に入金し引き出し、うち870万円を使用した。
・被告は、原告の親族が経営する会社の預金で必要のない自動車を約463万円で購入した。
・被告は、原告の親族が経営する会社の預金を自由に引き出し、500万円を証券会社に送金して取引を行ったり、生活費に充てるなどしたものも含め1500万円近くの預金を使用した。
裁判所は「被告の金銭の使用状況は通常の生活で必要な範囲を相当程度超えるものといえ,その行為は夫婦の信頼関係を損なう重大な要因となるものであり,原告と被告の婚姻関係が破綻した主たる責任は被告にあるというべきである。」として、慰謝料100万円を認めました。