コラム

離婚訴訟 裁判例 慰謝料 不貞行為

モラハラ・暴力の主張が認められず、不貞行為のみが認められた裁判例

弁護士 幡野真弥

 東京地裁令和 2年11月19日判決を紹介します。
 原告と被告は、平成21年1月、婚姻し、長男が生まれましたが、平成28年12月8日、協議離婚した。離婚後に、原告が被告に対し、モラハラ、暴力や不貞行為等の存在を主張して、慰謝料等を請求する裁判を提起しました。

 モラハラや暴力については、客観的な証拠がなく、「本件において,当時の会話録音や動画,画像等,被告による暴言や暴力を裏付ける的確な証拠は何ら存在しない。」と判断され、認定されませんでした。
 証拠に関連して、原告が警察署に対して生活安全相談をした際の生活安全相談処理結果表には「私は元夫と平成20年1月に結婚し,暴力はその1年後くらいから始まりました。」「暴力の頻度は2ヶ月に1回程度」といった記載がありましたが、裁判所は「原告の認識が一方的に記載されたものにすぎない」として、モラハラや暴力は認めませんでした。

 不貞行為については争いはなく、不貞行為が離婚の原因となったことから、慰謝料200万円となりました。モラハラや暴力を立証することは難しいケースが多いです。警察への相談記録だけでは、証拠として不十分となってしまう可能性があるでしょう。