コラム

離婚訴訟 裁判例 有責配偶者 慰謝料

有責配偶者からの離婚請求を認めた裁判例(同居約5年、別居約3年半、未成熟子なし、慰謝料50万円)

弁護士 幡野真弥

 有責配偶者からの離婚請求が認められた静岡家裁浜松支部令和 3年 1月26日判決をご紹介します。
 平成24年12月4日に婚姻した夫婦で、平成29年8月頃に別居したという事案です。
 原告には、一時期、女性と同居していた時期があり、裁判では、有責配偶者と判断されました。
 裁判所は「原告と被告は平成29年8月頃から現在まで別居を継続しており,別居期間は相当期間に及んでいると評価できる。」と判断しました。
 また「原被告間の婚姻関係は,原告の不貞行為のみにより破綻に至ったわけではなく,それに先立ち,主として,同居中の被告やその子らの生活態度について原告と考えが合わず,原告が車中泊をするなどして疎外感を強めていったこと等により次第に悪化していったことが認められ,かかる事実関係の下では,被告が離婚によって多少の精神的苦痛を被ること(中略)は格別,それが極めて過酷なものであるとまではいえない。」として、原告の離婚請求が、有責配偶者の離婚請求として信義則上許されないとはいえないと判断しました。
 また、離婚によって被る精神的苦痛は、離婚慰謝料の支払により慰謝されるべきとも述べて、慰謝料は50万円と判断しました。
 離婚慰謝料としては低い金額です。同居中、夫婦関係が不仲であったことが判断に影響しているものと思います。