不貞行為の証拠
弁護士 幡野真弥
離婚原因として、配偶者の不貞行為を主張することがあります。
しかし、相手が不貞の事実を争うことは少なくありません。
そのようなとき、裁判所に不貞行為の事実を認定してもらうためには、証拠が必要です。
ただ、不貞行為は密室で行われるものですので、証拠は制限されます。
「被告が不貞行為を自認している場合やまさに不貞行為の現場を押さえた証拠が提出されない限り、不貞行為の存在を認定することは難しいものといえる。実務上、しばしば興信所や探偵社等の調査書を提出したり、パソコンや携帯電話のメール等をプリントアウトしたものなどが書証化されたりすることがあるが、これだけでは、不貞行為の立証としては十分ではないものも少なくない。」(「人事訴訟の審理の実情」14頁)という記述のある文献もあります。
ご相談の際に、「これは証拠になりますか?」とご質問を受けることがあります。ホテルのポイントカード、避妊具、飲食店のレシート(二人分)などが財布やバッグの中に入っていた、スケジュール帳に不審な記載があった、などというのみでは、怪しいとはいえても、不貞行為の認定には不十分ということも多いです。