コラム

養育費 裁判例

養育費は何歳まで支払うことになるのかについて、判断した裁判例

弁護士 幡野真弥

 養育費は、子どもの生活に必要な費用ですが、成人に達したものは、自立して自分で生計を維持することが原則です。現在、法改正により、成人年齢は18歳tなっていますが、法改正前の成人年齢が20歳だった時期から、子どもが20歳を超えていても、まだ学生等であって働いていないときは、養育費は比較的認められやすい傾向にありました。もっとも、子どもの年齢がまだ低く、20歳の時点で学生になっているかどうかわからないような場合、判決や審判では、養育費は20歳までと判断されることが通常でした。

 2022年(令和4年)4月から、成人年齢が18歳に引き下げられましたので、審判や判決に影響するのか(あるいは影響しないのか)、関心がある方もいらっしゃるかと思います。この点、まだ改正法施行後の裁判例は見当たりません。もっとも、さいたま家庭裁判所令和 3年 9月30日判決は、改正法施行前の裁判例ですが、以下のように判断しており、参考になるものと思います。

 「民法改正による成年年齢が20歳から18歳に引き下げられること(令和4年4月1日施行)と養育費の終期との関係について検討すると,近時の社会情勢に照らし,一般的に,18歳となった時点で子が経済的に自立するという実情にはなく,一般的,社会的に,18歳となった時点で子の経済的自立を期待すべき実情にもないから,養育費の終期を成年年齢引下げと連動させて一律に18歳とすべき事情は認め難く,上記改正の立法過程においても,成年年齢引下げと養育費の終期は連動しないことが確認されている(中略)。したがって,成年年齢引下げと養育費の終期を連動させる原告の主張は採用できない。」