コラム

養育費

義務者が収入のある相手と再婚し、子ができた場合の養育費

弁護士 長島功

 義務者が再婚し、再婚相手とに間に子ができた場合の養育費について、前回のコラムでご紹介しました。今回は、登場人物は同じなのですが、再婚相手に相応の収入がある場合についてご紹介したいと思います。

1 設例
 夫は、離婚した妻(以下、「前妻」)との間に子(15歳、以下、「A」)がいましたが、再婚し、再婚相手との間に子(0歳、以下「B」)が出来ました。
 夫は、年収600万円、前妻は年収200万円(いずれも給与所得者)で、再婚相手にも年収300万円(給与所得者)の収入がある場合、夫が前妻に支払う養育費について考えてみます。

2 計算方法
 この場合には、夫が、子ども達(再婚相手との間の子Bと、前妻との間の子A)と同居したと仮定し、Aに分配される金額を算出することになります。
 再婚相手に収入がある場合には、義務者が再婚相手を扶養する前提で計算はしません。
 また、以下でご説明するとおり、再婚相手に収入があるため、Bの生活費指数は再婚相手の収入も考慮して計算することがポイントになります。
(1)Aの生活費

 夫の基礎収入×{Aの生活費指数/(夫の生活費指数+Aの生活費指数+Bの生活費指数)}

 で計算します(生活費指数、基礎収入に関しては以前のコラムを参照してください)。
 ただし、再婚相手との間の子Bの生活費指数は、再婚相手にも相応の収入があるため、義務者(夫)と再婚相手との収入比によって按分します。
 具体的には、Bの年齢からする生活費指数は「62」ですが、義務者の基礎収入246万、再婚相手の基礎収入は126万(300万×0.42)となることから、

 62×{246/(246+126)}=「41」がBの生活費指数となります。

 これを設例のケースに当てはめますと、

 246万×{85/(100+85+41)}=92万5000円となります。 

(2)夫が前妻に支払うべき金額
 そして、(1)で出たAの生活費を夫と前妻の基礎収割合で按分して、夫が前妻に支払うべき金額を算出します。具体的には、

 Aの生活費×{夫の基礎収入/(夫の基礎収入+前妻の基礎収入)}

 設例のケースですと、

 92.5万×{246/(246+86)}=68万5391円   

 となり、これがAの年間の養育費となります(月額約5万7000円)。