コラム

財産分与

退職金と財産分与

弁護士 幡野真弥

 退職金も、婚姻後別居までの期間に対応する部分が財産分与の対象になると考えられています。
 別居時に自己都合で退職した場合の退職金相当額を財産分与の対象となる財産として考慮することが多いですが、その場合、計算式は 別居時の退職金×婚姻期間÷退職金の基礎年限 となります。

 支払い方法は、実務上は一括払いが多いです。
 もっとも、退職金が支給されるかは不確実ですので「退職金を支給されたときは、〇〇円を支払え」という判決が言い渡された例もあります(東京高判平成10年3月13日、東京高判平成10年3月18日)。

 退職金を計算するには、就業規則や退職金規程などの資料が必要です。これらの資料は、通常は勤務している当事者が提出しますが、退職金を財産分与として請求される側が、資料を提出しない場合もあります。そういった場合は、最終的には調査嘱託を申し立て、裁判所から勤務先に情報の提出を求めることとなります。