コラム

養育費 婚姻費用分担金

婚姻費用・養育費と懈怠条項

弁護士 長島功

 調停等で金銭の支払いについて合意をする場合、分割払いの合意をすることがあります。その場合、不払いになるリスクが一括払いの場合より高くなるため、支払を怠った場合のことを想定して予め取り決めをしておくことがあります。これが懈怠条項です。
 例えば、支払を怠ったときには分割払いではなく残金を一括払いさせたり、遅延損害金を発生させるようなものが典型例です。
 このような懈怠条項は、慰謝料や財産分与、解決金といったものが、分割払いになる場合に付けることはよくあります。

 では、長期の支払が想定される婚姻費用や養育費にも、このような懈怠条項をつけることはできるのでしょうか。
 この点については、付けることができるという考え方もあるのですが、実務では消極的に考えられています。婚姻費用や養育費は、分割払いをしているというよりは、その都度必要な費用が発生するものと考えられており、また、その内容も双方の生活状況等によって変化したり、場合によっては消滅したりするものなので、懈怠条項には馴染まないと考えられているためです。実際の審判例でも同様の判断をしたものがあります。
 ただし、過去の未払分に関しては金額も確定しており、これを分割とするような場合には懈怠条項を付けることも可能と言われています。