婚姻費用分担請求について⑦~有責配偶者からの婚姻費用分担請求~
弁護士 小島梓
前回、ご説明した通り、実務上は、婚姻関係が続いている以上は、婚姻費用分担義務が発生するという判断になるのが通常です。
しかし、現在、多くの裁判所はこれを原則としつつも、いわゆる有責配偶者からの婚姻費用分担請求は認めない、若しくは減額要素になると考えています。
本HPのコラム「婚姻費用についての裁判例~有責配偶者からの婚姻費用の請求」にて、有責配偶者からの婚姻費用分担請求を認めなかった事例を紹介していますので、ご覧ください。
この事例では、妻から子供等に対する暴力があり、それが破綻の原因と認定されました。
他に、典型的なケースは、妻が同居中に不貞行為をして、子供を連れて自宅を出ていき、別居状態となった後に、妻から夫に対して婚姻費用分担請求を行うケースです。
このようなケースでも、現在の裁判実務では妻からの請求を一切認めないか、少なくとも減額するという判断が定着しつつあると思われます。
また、多くの裁判所は、妻が有責であるとしても、子供には責任がないため、妻が子供を連れて別居し、現に子供を監護している場合には、通常、子供の生活費相当額は認容する傾向にあります。
次回以降、婚姻費用分担請求の具体的な算定方法についてご説明していきます。