婚姻費用分担請求について③~婚姻費用分担の始期~
弁護士 小島梓
別居後、婚姻費用はいつから請求でき、いつから発生するのでしょうか?
「数か月前に別居したが、その後、夫に請求しても一切生活費を支払ってもらえない」といったお悩みでご相談にいらっしゃる方も珍しくありません。では、この場合、過去の分も含めて夫から婚姻費用をもらうことはできるのでしょうか?
結論から申し上げますと、状況によりけりではあるのですが、難しいケースが多いです。以下、簡単にご説明します。
現在の裁判実務上、「婚姻費用については請求時から発生する」という考え方が定着しています。
そして、実務上
●婚姻費用分担調停・審判の申立
●内容証明郵便をもって婚姻費用分担の請求を行った
といういずれかの措置をとっていれば、請求したと考えられ、通常は同時点を請求時と認定してもらえます。
以上を踏まえますと、婚姻費用分担請求の流れとしては、
①まずは本人に生活費を請求してみる
②払ってもらえそうもない時には早めに、弁護士に相談に行く
③状況に応じて、自分名義もしくは弁護士名義で内容証明を出す
④それでも払われない場合には、早急に婚姻費用分担調停を申し立てる
というのが一つの良い方法と考えています。
ただ、そもそも、理想としては、別居をする前に一度、弁護士に相談に行っていただきたいです。そのため、婚姻費用分担請求の流れについては別途改めて詳細をご説明します。
大切な生活費ですので、迅速な対応を心がけていただければと思います。
次回は、婚姻費用分担の終期について簡単にご説明します。