離婚の方法⑤~離婚協議書の作成(協議離婚)~
弁護士 小島梓
前回のコラムにおいて,協議離婚成立時における,書面作成の重要性につきご説明をいたしました。
今回は,その書面の形の一つである,「離婚協議書」についてご説明していきたいと思います。
ア 離婚協議書とは
離婚協議書は,簡単に申し上げますと,当事者間で親権,面会交流,養育費,財産分与等の離婚条件について取り決めた内容をまとめた書面のことです。
イ 離婚協議書の作成に適しているケース
離婚協議書は,当事者間の合意により,いつ何時でも作成できますので,次回ご紹介する公正証書に比べると手間や費用は比較的少なくすみます。さらに,双方の合意内容を示す書面になりますし,双方が合意したことの証拠にもなりうるものです。
しかし,他方で,次回ご紹介する「公正証書」とは異なり,合意内容が守られなかった時に強制執行という手段はとれません(こちらの内容は次回詳細にご説明します)。
そのため,「離婚協議書」の作成に適しているケースは,離婚時の状況や双方の性格に鑑み,双方とも,離婚後に約束を守らないという事態になる可能性が低く,早期に手続きを進めたいというケースになろうかと思います。
ウ 作成方法
離婚協議書については,弁護士に依頼することをお勧めします。上記でもお伝えした通り,離婚協議書は双方の合意内容を示す証拠となりうるものであり,離婚後のルールを定めたものでもあるため,もれなく適正な文言で作成する必要があります。
当方もこれまで色々とご本人作成の離婚協議書を拝見してきましたが,適正に作成されていることはほとんどございませんでした。文章の作り等の関係から法的に無効であるものが含まれてしまっているケースも多々ございました。
条件交渉までは,当事者間で代理人を立てずに行い,まとまった条件をもとに離婚協議書を作成する段階のみ,弁護士に依頼するということであれば,交渉を依頼するよりも低額の費用で依頼できることが多いと思います。
当方でも離婚協議書の作成のみのご依頼を受けております。作成については,一度弁護士へのご依頼をご検討ください。
次回は,書面の別の形,公正証書の作成についてご紹介していきます。