離婚の方法④~書面作成の必要性(協議離婚)~
弁護士 小島梓
今回からは,協議離婚を進めるときの三つ目のポイントとして,「書面の作成」についてご紹介していきたいと思います。
当事者間の話し合いの結果,親権,養育費,面会交流等の離婚条件について合意に至った際には,離婚届を提出する前に,当該内容を書面にまとめ,双方の署名押印の上,相互に1通ずつ保管するということをお勧めいたします。
まずは,協議離婚を進めるときになぜ書面が必要かという点についてご説明していきます。
(1)書面の必要性
合意内容について書面が一切ない状態ですと,後に言った言わないという事態になってしまい,結局合意した内容が履行されないということがおこりやすいです。
特に,養育費の支払いや面会交流など離婚後も長期間継続する事柄について取り決めがなされているときには,書面の作成は必須とお考え下さい。
せっかく離婚が成立しても,紛争が続いてしまう結果になっては話し合ってきた意味がありません。後の紛争を防ぐという意味で書面は大変重要になります。
(2)作成時期
通常は,離婚届提出前に書面を作成していただくのが良いと思います。
離婚届提出により,「離婚したい」という目的が達成されてしまうと,書面作成等の面倒な作業に協力する気を失ってしまう方も多いです。
そのため出来る限り,届け出前に話し合いを完了し,書面を作成しておくことをお勧めします。
では,どのような形の書面を作成するのが良いのでしょうか。
いくつかの形がありますが,本コラムでは代表的な書面の形として「離婚協議書」と「公正証書」についてそれぞれメリット,デメリットなどをお伝えしつつ,それぞれに適したケースなどについてご説明していきたいと思います。
次回は,まず「離婚協議書」についてご説明します。